2025年8月24日から29日の6日間にかけてフランス・パリにて開催された第23回国際栄養学会議(IUNS-ICN 2025)に参加し、シンポジウム1件および要旨発表1件をそれぞれ口頭で行いました(本学科栄養生理学研究室・准教授 落合優)

本会議の主要テーマは、“Sustainable Food for Global Health”、すなわち “健全な世界のための持続可能な食品”についてであり、開催地域である欧州諸国をはじめ、アフリカ、北米、中南米、アジア諸国など117か国から3,835名が参加して幅広く食料・食糧問題や食品開発について議論されました。
落合准教授は、公益社団法人日本栄養・食糧学会が企画した若手研究者によるシンポジウム(Cutting-edge nutritional research by promising young Japanese researchers)にて、"Values of edible insects from the perspective of alternative food resources and food nutritional functions" (代替食料資源および食品栄養機能から考える食用昆虫の価値)についての発表を20分間行いました。また、要旨発表にて、“Edible insects improve lipid metabolism: possible compounds and mechanisms from a rat study”(食用昆虫は脂質代謝を改善する:ラットの研究から考えられる関与成分とそのメカニズム)についての発表を5分間行いました。いずれの発表会場にも約40名の研究者の出席が見られました。
持続可能な食品というテーマが掲げられるように、食料・食糧供給は世界で均等ではなく、食文化や伝統食品・食品開発も大きく異なります。そのため、人間が摂取する栄養素が異なるため、栄養状態に関する課題や取り組む研究内容は大陸や国ごとに異なります。例えば、アフリカ大陸の多くの国では食料難が引き起こす栄養失調とそれに対応するための食料供給・伝統的な食品製造、日本を含む東アジア、欧州、北米ではより生理機能を重視した食品開発、東南アジア諸国では伝統食の食品開発に関連したテーマが主になります。本会議では、国・地域ごとの食品開発や栄養学的な課題、先端領域、国際栄養学連合(IUNS)が今後重視する研究テーマを中心にシンポジウムを聴講してきました。国内の学術会議でも食料・食糧問題と農学分野の課題については議論されますが、本国際会議ではより深い内容や取り組み方策について発表・討論されていたことが印象的でした。食料自給率が低い日本においては、地球温暖化による環境悪化と食料・食糧生産難の影響を受け、他国からの輸入食料の価格高騰や供給難が予想されます。これらは将来的に、日本における食料・栄養問題に繋がり得る内容です。本研究室にて実施中の代替食資源として期待される食用昆虫に関する栄養化学的な学術研究(栄養、生理機能、食品開発)を通して、持続可能な食品開発に少しでも貢献できるよう引き続き努めていきます。
本会議における発表は、公益財団法人日本栄養・食糧学会の国際交流に関する援助を受けて行うことができました。この場を借りて改めて深く感謝申し上げます。

