鳴き声による鳥の種類の識別の研究【グリーン環境創成科学科】

 渡り鳥の飛来状況の調査1)や、生物季節モニタリング2」において、調査は人の五感に頼っており、現在より高い頻度で調査を行ったり観測対象を拡大したりするためには調査する人員を増やす必要があります。

 私たちリモートセンシング研究室では,研究課題のひとつとして、これらの調査をより省力的に行うための、コンピュータやAI(機械学習)を利用した鳴き声による鳥の種類を識別する研究を行っています。「離れて測ればなんでもリモセン」で、この研究は音声によるリモートセンシングです。

 北国では寒くなってくるとオオハクチョウが渡ってきます(写真1)。オオハクチョウの鳴き声を録音してそのスペクトログラム(時間を横軸、鳴き声の周波数を縦軸、信号成分の強さを色の濃さで表したグラフ)を表示すると、図1のようになります。800 Hzあたりとその整数倍の周波数域に横に明るい線が出ており、1秒間継続しています。これから、白鳥は倍音を含む周波数約800 Hzの強い声で約1秒間鳴いていることがわかります。そうすると、周波数800 Hz付近の音程が1秒連続して聞こえたら、「オオハクチョウがいる」と識別するプログラムを作れば、オオハクチョウの飛来が識別できる可能性があります。

 シジュウカラ(写真2)は全国に広く分布していますが、その鳴き声のスペクトログラムは図2のようになります。オオハクチョウより複雑な音程で鳴いています。こちらは単純に何Hzの音程を何秒間、というわけにはいきません。そこでコンピュータにシジュウカラの鳴き声をたくさん学習させて、実際に学習させた鳴き声と似た鳴き声であれば「シジュウカラがいる」と識別できる可能性があります。この方法はオオハクチョウも含めてほかの鳥にも利用できます。コンピュータで自動識別してメールなどで人間に知らせれば、人間が毎日対象の鳥のいそうな場所に調査に行かなくても、知らせがあったときだけ確認に行くことで調査を省力化することができます。現在はどのような条件で鳴き声を学習させると自動識別の精度が高まるかを調べているところです。個体識別までできると個体数まで把握できますが、それは将来の課題です。

オオハクチョウ

 

シジュウカラ

参考リンク

1)環境省 渡り鳥の飛来状況調査について、

https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/migratory/ap_wr_transit/index.html

2)国立環境研究所 市民調査員と連携した生物季節モニタリング

https://adaptation-platform.nies.go.jp/ccca/monitoring/phenology/

 

リモートセンシング研究室

長坂 善禎