以下の通り、第551回獣医学科セミナー<Facultyセミナー>を開催します。
第551回獣医学科セミナー<Facultyセミナー>
【開催日】 2月19日(木)
【会 場】 A棟3階 A31講義室
【時 間】 17:00〜
【演 者】 柿崎 竹彦 先生(獣医放射線学研究室)
【タイトル】縁の下の放射線屋 〜多様なツールで紡ぐ、研究と臨床の新たな架け橋〜
【要 旨】
【はじめに】現代の医学・科学研究において、放射線技術はもはや欠かすことのできない「共通言語」となっています。しかし、その特殊性の高さゆえに、放射線が持つ真のポテンシャルが周囲に完全には伝わりきっていない側面もあります。本講演では、「縁の下の放射線屋」を自認する演者が、いかにして多様な放射線ツールを駆使し、他診療科の医師や異なる専門分野の研究者たちの志を支え、具現化してきたかについて、具体的な事例を交えて紹介します。
【多角的な放射線ツールの活用】放射線屋の武器は、単なる画像撮影、診断や放射線照射技術と多岐に渡ります。非破壊で内部構造を可視化するCT、生理学的機能を捉えるPET/SPECT、さらには細胞レベルでの反応を解析する放射線生物学的アプローチなどなどあります。 これらのツールは、それ単体では計測をしているに過ぎませんが、他分野の専門家が抱える「なぜ?」「どうなっているのか?」という疑問と掛け合わせることで、強力な解決手段へと変貌します。例えば、「治療前後の組織変化を定量化したい」という要望や、基礎研究者からの「薬剤の体内動態をリアルタイムで追いたい」といったニーズに対し、最適な放射線学的アプローチを提案し、共にデータを構築していくプロセスこそが、私たちの真骨頂です。
【「支える」から「共に創る」へ】ともすれば、依頼されたタスクをこなすだけの「下請け」に徹しそうな放射線屋ですが、私たちの真の価値は、放射線の物理的・生物学的特性を深く理解しているからこそ可能な「一歩先の提案」にあります。 「ノイズを減らす画像処理技術」「生理学的な裏付けにつながる測定法」といった専門的知見を提供することで、研究の質を一段階引き上げられるのではないかと考えています。他診療科や他分野の研究者が主役として輝くための「舞台」を整え、彼らが確信を持って前進できるよう背中を押す。この強固なサポート体制こそが、ひいては患者への還元や、科学的発見の加速に直結することを信じています。
【結びに】「放射線」という目に見えないエネルギーを扱う私たちは、まさに目に見えない場所で全体を支える「縁の下の力持ち」であることを誇りに思っています。しかし、その縁の下が揺るぎないものであればあるほど、その上に建つ学問や医療の塔は高く、強固なものになります。本セミナーを通じて、放射線ツールの可能性を再確認していただくとともに、領域の垣根を越えたコラボレーションのきっかけとなることを願っています。