第543回獣医学科セミナー<外部研究者招聘セミナー>「マニアのススメ ~フィールドでも、ラボでも、とことん研究を楽しむ!~」加藤 大智 先生(自治医科大学 感染・免疫学講座 医動物学部門)

2025-11-07
A棟2階 A21講義室

イベントの概要

以下の通り、第543回獣医学科セミナー<外部研究者招聘セミナー>を開催します。

第543回獣医学科セミナー<外部研究者招聘セミナー>

【開催日】 11月7日(金)

【会 場】 A棟2階 A21講義室

【時 間】 17:00〜

【演 者】 加藤 大智 先生(自治医科大学 感染・免疫学講座 医動物学部門)

【タイトル】マニアのススメ~フィールドでも、ラボでも、とことん研究を楽しむ!~

【要 旨】

リーシュマニア症は「顧みられない熱帯病 (Neglected Tropical Diseases)」の1つで、熱帯・亜熱帯地域を中心に地中海沿岸などでも流行し、100か国近くで1,200万人以上の患者が報告される。ヒトに病原性を示すリーシュマニア原虫は約20種存在し、これらは1,000種以上記載されるサシチョウバエの一部の種に媒介される。本症の多くは、伝播サイクルに保虫動物(リザーバー)を必要とする人獣共通感染症である。臨床症状は、皮膚型、粘膜皮膚型、内臓型の3つに大別される。感染種が臨床像を決定する主な要因となり、治療薬への反応も感染種により異なるとも報告されることから、感染種の同定は適切な治療や病態リスク評価において重要である。また、流行地や周辺地域における分布サシチョウバエ種やベクター (媒介種)の同定、リザーバー動物の特定は、伝播経路を明らかにし、感染リスク評価や効果的な疾病対策を講じる上で重要である。

我々は、エクアドル、ペルー、パキスタン、タイ、スリランカ、チュニジアなどで、リーシュマニア症の疫学調査研究を行ってきた。フィールド調査で得た検体を用いてラボで新たな調査法や検査法を確立し、それをフィールドで応用している。これらの研究を通して、各地域で流行する原虫種を明らかにし、様々な交雑種が存在することも報告した。また、サシチョウバエの大規模調査法を確立して流行地に分布する種を明らかにし、いくつかの地域ではベクターを同定した。ラボでは、ハマダラカ、吸血性サシガメの他、日本で唯一のサシチョウバエのコロニーを維持し、吸血昆虫の唾液の生理活性やベクターによる病原体の媒介機構について研究を行っている。

本講演では、我々がこれまでフィールドとラボで行ってきた研究について紹介する。また、これから始まるエクアドルとの共同研究「Project Inti ~Illuminating Neglected Tropical Infections~」についても紹介したい。